相手をなんと呼ぶか
人を名前で呼ぶことは、コミュニケーションにおいてはとても重要であり、同時にシンプルなことでありながら難しいことでもあります。
日本人にとってとても厄介なのは、人を呼ぶ時に名前ではなく、「先生、店長、課長、先輩」などのように場所や時期、自分の置かれている立場によって相手の呼び方を変える部分です。
僕が会社に勤めていた時に、このようなことがありました。
社長がもう引退するということで、「専務が来月から社長に昇進します」という話を社員全員が聞かされました。
社員全員合わせて10名ほどの小さな会社でしたが、役職がある人もいたので、みんな名前ではなくその役職で呼んでいたのですが、専務が社長になってからも、なぜか社員は全員、新社長を「専務」と呼んでいました。
僕も、社長を「社長」と呼んでは見たものの、何だかしっくり来ないし、社長は社長で、「あっ、俺のことか」なんて言っていたくらいなので、呼ばれる方も変な感じがしていたのでしょう。
結局、僕はその後ずっと社長を「専務」と呼んでいました。
時々、近所を自転車で走っていると、元生徒さんに出くわすことはよくあることです。
皆さん、もう僕の生徒さんではないのに、「あっ、先生~」と呼ばれます。
僕はその人にとって、ずっと「先生」なんです。