心を通わす
コミュニケーションは相互的なものということを、僕はよく生徒さんに話します。良いコミュニケーションは、自分が何かを伝えようとするのと同時に、相手も自分を理解しようと集中するものです。
先日のグループレッスンで、Aさんが自分が英語を学んでいる理由を、一生懸命に残り2人の参加者に伝えようとしました。Aさんは伝えたいことが単語一つも出て来なくて、天を仰ぎながら手を動かしていました。話の聞き役にまわった2人の参加者は、Aさんが考えながら手を動かしている様子をじっと見つめながら、何度もうなずいていました。
うなずくときは、だいたい相手が言うことを理解したときだと思います。Aさんがまだ何も発していないのに2人がうなずいていたのは、言いたいことを理解したからではなく、Aさんが何かを言おうとしている意志があるということを理解してうなずいたのでしょう。2人の心の中で、「大丈夫、時間をかけて考えていいよ」と言っていたかのように見えました。
たとえ自分の英語力がまだまだだとしても、英会話では正しく伝えるよりも、お互いに心を通わすことの方がより実りがあるのではないでしょうか。