昨日のレッスンでSさんが日本茶について話してくれました
レッスンが終わった後、日本について英語で説明する難しさについて話をしました
日本のことについて話をしようしたときに一番難しい部分は、日本語特有の概念があって、それを英語で説明するときにカチッと当てはまる単語や表現が存在しないことです
例えば、昨日Sさんがお茶の「火入れ」について話そうとしたとき、英語でいう「ロースト」という単語一つで説明を終わらせてしまうと、相手は少しずれた感覚で解釈しかねません
「火入れ」という微妙な表現は、なるべく正確に理解してもらうには、少々の労力が必要です
もう一つ難しいのは、日本人でも、習慣としてずっとやってきたことは、それの意味をいちいち考えることなくやってきているので、説明を求められたときに答えられそうで答えられないことです
「七五三」とは何かを聞かれたとき、それを何のためにやり、なぜ7歳、5歳、3歳のときにやるのかを説明できるのは、少数かもしれません
外国人と異文化交流をするということは、自分たちの国についてお互いに教え合うという部分も大いにあると思います
異文化交流が上手な人は、自国のことを沢山語れるための知識がある人なのかな、と考えてしまいました
生徒さんだけでなく、多くの方にされる質問があります
OFFBEATに入会されたばかりのSさんにも同じ質問をいただきました
「何時間くらい英語の勉強をすれば身につくのか」
英語教育を専門にしている人の中でも、1万時間と言ったり何千時間と言う人もいたりですが、実際は英語を習得したい方がどこまでやりたいかによって変わると思います
もう一つ僕が考えているのは、「時間よりも量」の方が重要ということです
1時間の中でも、触れる英単語の量や回数によって幅が広がるし、英語が脳に定着する率も上がると思います
一回のレッスンの中で同じ単語が3回出てきたら、1回よりは記憶に残りやすい気がします
社会人の方は特に、英語に触れることができる時間に制限ができてしまいます
その制限された時間の中で、どれくらいの量の英語に触れることができるかは、とても重要なことだと思います
Tさんが昨日のレッスンで、「一週間くらい前から、急に英語が聞こえてくるようになった」と言っていました
今までは英語の音が、片方の耳から入って逆の耳から出ていってた感覚だったようですが、最近はその音が少し頭に残るようになってきたそうです
Tさんは60代なので、聴く力は60代の方でもまだまだ鍛えることができるのだと証明してくれたことになります
文をリスニングして理解できるようにするためには、ある程度、会話に出てくる単語を知っていないと難しいはずなので、Tさんの次の課題は、動詞と形容詞の語彙を増やしていくことかなと思います
以前から感じていたことですが、生徒さんと会話をしていて、新しく覚えた名詞(bankやparking lotなどの目に見えるもの)は、習ってすぐに使えるようになっているものが多いです
その反対に、それ以外の品詞(動詞や形容詞など)は、習ってもすぐには会話の中に反映されてきません
僕が会話の中でそれらの動詞や形容詞を使って生徒さんが理解したとしても、それを自分がアウトプットすることがまだまだできてこないというのが現状です
だからといって、それぞれの単語の定義を丁寧に教えたからといって、使えるようになるわけではありません
これはやっぱり、生徒さんが新しい単語を会話の中で使えるように、僕が意識的にそれらの単語を使うような質問などをして促していく工夫が必要なのかなと思います
インプットに関しては、文脈の中で単語の意味がわかるようになってくるほうが自然だし臨場感も高まると思うので、大量の文を口から出す訓練をコツコツ続けることが重要かなと考えています
英語教育というと、多くの英語の先生は文法(特に統語論)に注目していると思います
僕は英会話の先生として、「正しい文を作ること」よりは、「場や相手にふさわしい言葉選び」を気にしていこうと考えています
日本語で例えると、目上の人に対しては「かまいません」と言い、友達には「全然オッケーで~す」のように使い分けることです
なので、「全然オッケー」という表現は文法として正しくないという議論は極力避けるようにして、相手に対してどれくらい伝わっているのかを重視したいと思っています
こう考えると、英会話を教えるためには、インプットの段階で生の英会話の映像や音源を使うということが、とても重要になってくるでしょう
ネティブスピーカーが口から発する文が「文法的に正しいかどうか」を見るのではなく、どのような相手のとき、どのような状況のときに「どのような言葉遣いをしているのか」を学び取るには、やっぱり生の英会話がいいのではないでしょうか