今まで行ってきた習慣を変えることは、とても難しいことです
多くの日本人が持っている習慣の中に、英会話をするときは「正しい文法か」を気にしながら話すことがあると思います
これは、クセになってしまったら、なかなかこの習慣を変えることは簡単ではありません
文法とはルールのようなものです
ルールは守れたほうがいいのは誰でもわかっていることです
だけど、世の中にあるルールを全て守っている人はどれくらいいるでしょうか?
交通ルール、学校の校則、家族の中のルールなど、まだまだ沢山ありますが、たいていの人は認知をしていながらも、いくつかのルールを破りながら生活していると思います
「これくらいなら破っても大丈夫だろう」とか、「他の人もやっているから、やってしまおう」という感じで、ルールに反することをしています
では、英会話をするときに、なぜこれほどまでに「正しい文法(英語のルール)」を守ろうとする日本人が多いのでしょうか?
僕が思っているのは、正しい文法を使わなければいけないと学校で習い、それが習慣として今でもクセになってしまったからです
会話においては、通じたこと全てが正しい言い方なのだと考えれば、今まで以上にのびのびと話ができるはずです
Fさんと、こんな話をしました
「なぜ、英語を流暢に話せるようになりたいのか・・・」
僕は自己満足のためだと言いました、全員に必要なことではないということです
なぜかと言うと、実際に外国へ行ってみると、言葉が通じなかったからといってレストランで食べ物を何も食べられずに出てくることはほぼないだろうし、ホテルに泊まれないこともほぼないはずです
相手とコミュニケーションを全く取れなかったとしたら、それは語学力の問題ではなく、その人の心の問題だと僕は思います
言葉を全く習わずに外国旅行を楽しめる人は沢山いるし、外国人と友達になってしまう人もいます
登山家の栗城史多さんの本を読んだら、彼は世界の山を登りに行っていますが、英語も含めてどの言語も「アハン」と「ウフン」しか言えないと書いてありました
言葉をなめらかに口から出せるようになりたいのであれば、相当な努力が必要です
僕がよく生徒さんに話す、「流暢になることを目標にしないでください」というのは、その人にとっては流暢になることが必要なことではないから
もし流暢になったとしたら、その人が英語を話す機会が沢山あって、結果としてそうなったというだけです
OFFBEATのレッスンでは、自己紹介をする練習をしています
いつどこで自己紹介をするかなんて誰も知りません
だけど、自分のことを魅力的に表現できる人は、初対面の人に対して良い印象を与えることができます
そこで役立つのが自己紹介だと僕は思います
大切なのは、オシャレな英語の言い回しを使うことなどではなく、自分は何者なのか、何に興味があるか、話を聞いている相手にとって良い情報を与えられるか、などを常に考えることです
昨日のUさんのレッスンでも自己紹介の練習をしました
やる前に「今日あなたは新しい楽団に入団しました。その楽団のメンバーに対して自己紹介をしてください。」と状況設定をしました
そうするとUさんは、自分は何の楽器を演奏できるか、どんな種類の音楽が好きかなど、その楽団メンバーが興味を持つだろうと思われる部分を自己紹介で話すようになります
英語で上手にできるようになるころには、きっと日本語でも上手になっていると僕は思います
要するに、使う言語の問題ではなく、「何を話すか」です
Nさんがレッスンが終わった直後に、「あ~~、疲れた」と一言いいました
そのとき、僕は心の中で「いいレッスンになったな~」とつぶやきました
僕の「いいレッスン」の定義は、生徒さんが1時間の中で、何をどう伝えるのかをより多く考え、そして発話をより多くする、そんなレッスンです
考えてみれば、僕がレッスンでやっていることは「教える」ではなく、生徒さんを「英語の世界に連れまわしている」、そんな感じです
それぞれの生徒さんが、その英語の世界でどうやって相手と上手くコミュニケーションをとるのかを工夫し始めたときに、英語で会話をすることが楽しくなってくるのかもしれません
ある先生が、おっしゃっていました
「ものごとは、勉強してできるようにするのではなく、先にできるようなって、そのあとから勉強が始まる」
サッカーで言えば、戦術や精神面の勉強をするまえに、しっかりとボールを止めて蹴ることをできるようにするということでしょうか
これを英会話に置き換えると、先にコミュニケーションをとれるようにしてから、文法や英語が話されている国の文化などを学ぶということになると思います
「先にコミュニケーションをとれるようにする」というのは、言葉だけで通じさせられるということではなく、ジェスチャーや声のトーン、顔の表情を使えるだけ使って、なるべく早い時間でお互いの理解度を高めるというのが僕の解釈です
と言うことは、英会話においての基本とは「コミュニケーション」であって、文法は応用にあたるのかもしれません
こう考えると、ものを教える人にとって大切なことは、「何が基本なのか、それをどう教えるのかをよく理解している」ことなのだと思いました