人間の脳は、そもそも、忘れるようにできているらしいです
だから、学んだものを忘れることも自然ということです
そうなると、語彙力を増やそうとすることはナンセンスなのか?
僕にも実際のところはわかりません
僕の20代のころの経験ですが、まったく今までやったことのない仕事を始めると、自分の知らない単語を耳にし、それを知らないと仕事になりません
それらの単語は、単語帳を作って必死に覚えたのではなく、仕事の中で使いながら覚えていきました
英単語もこんな感覚で覚えることがベストなのではないかなと僕は思っています
つまり、「使ってみる」ことが大切なのです
きっと、受け身で習っただけでは「わかったつもり」で終わり、そのうち忘れてしまいます
今朝の話ですが、朝食を家族で食べている最中に娘が「コロコロは?コロコロは?」と言っていました
それを妻が聞いて、「コロコロってなに?」と質問しました
僕は妻より先にその「コロコロ」が何かピンッとひらめいて、「カーペットをきれいにするコロコロのことだよ」と言いました
そうしたら妻は「ああ、コロコロのことか」と言いました
僕も妻も、カーペットを粘着力できれいにする「それ」を「コロコロ」といつも呼んでいるのです
だけど、娘が「コロコロ」と言ったときに、それが何かすぐには気が付きませんでした
もともと、「コロコロ」という単語には意味がなく、人がそれぞれその単語に意味をつけて、初めて共通認識できるものになるのだなと感じました
まったく違うもののことを「コロコロ」と呼んでいる人も多くいるはずです
1万人に「コロコロって知っていますか?」と質問したら、どれくらいの数がでてくるのでしょうか?
SさんはOFFBEATに通い始めて1年とちょっと
本人はいつも、「どんだけやっても、英語が身に付いた気がしないんです」と言っています
彼女が1年前に始めたころは、超初心者レベルで、僕の言ったことを半分も理解できていませんでした
そんなSさんですが、今日のレッスンでは、ボリビアのエケコ人形の話や旅行の話に夢中になって、20分くらいずっと英語だけで話をしていました
僕はSさんの話に、ほとんど相槌しか打っていませんでした
確かにSさんの英語のレベルはこの1年間で劇的には伸びていませんが、片言でも、英語だけでこれだけ話をできることは事実です
英会話を身に付けたいと思っている人は誰でも、自分がペラペラになる姿を夢見て始めるものだと思います
だけど、現実として、英語をペラペラ話せるようになるには、特に社会人にとっては、英語に触れる時間をつくることが難しく、厳しいものです
僕が生徒さんに「片言でもいいから、会話そのものを楽しみましょう」と言い続けているのは、ペラペラになることを目標にしてしまうと、理想の自分に近づくことがとても遠く感じてしまい、諦めて英語そのものをやめてしまうからです
Sさんがこの1年で一番変わった部分、それは、「英会話をするときに英語のことを考えない」ことです
昨日のレッスンで、S君が「ノルウェーの森(英語の本)」を買って読み始めたけれど、理解できない単語が多いいので、この本の読み方についてアドバイスが欲しいと言われました
高校生で英語の本を読もうという発想そのものがすごいと僕は感じました
理解できない単語が多すぎるということは彼にとって少しレベルが高いので、もう少し簡単に読めそうな本を探すことを勧めました
もしその本を読んでみたいのであれば、単語の意味や、本に書いてある内容については考えずに、とりあえず「本に目を通す」程度に読んでみてはどうかと伝えました
そして、気になった単語がでてきたら、それを調べてみればいいと思います
僕なら単語帳はあえて作らないということも伝えました
僕も単語帳を作って勉強した経験がありますが、作って満足してしまい、それを何度も読み直したわけでもなく、ただ書くことに満足しただけのような気がしました
書けばあとでまた辞書を引く手間は省けるかもしれませんが、あえて何度も引いた方がいいと思います
最初のうちは本を読んでいても、知っている単語が少なくて本の内容がさっぱりわからないかもしれません
だけど、しばらく期間がたってからもう一度同じ本を読んでみると、ボキャブラリーが増えて、徐々に話の内容が見えてきます
これをS君にはジグソーパズルに例えて説明しました
最初は全体の絵が見えていないけど、徐々にピースがくっつき始めると、少しずつ絵が見えてくる、これが本を多く読みながら徐々に単語を増やすことと似ています
もう一つ、英語の本を読むからといって、「英語の勉強だ」と思わずに、純粋に本の内容に感動したり、知識を得たりすることのために読み続けていれば、知らないうちに英語力も「ついでに」ついてくるはずです
僕はレッスン中、生徒さんが「この言い方であってるのかな?」という表情をしても、僕が理解できていれば、首を縦に振って話をどんどん進めてもらいます
これは、英語よりも話に夢中になってもらうためです
年齢、経験の量、勉強量によって、話題を沢山持っている人とそうでない人がいますが、こんな方々もいらっしゃいます
今日のレッスンに来られたUさんはコーヒー屋さん、Sさんはお茶屋さんをそれぞれ経営しています
お二人とも相当の勉強量と経験量があるのでしょう
Uさんは自分の好きな小説家の話をし始めたら止まらなくなり、Sさんは静岡産の紅茶の話で止まらなくなりました
話題は僕が提供したのですが、そこから先はお二人とも話が止まりません
どちらも「英語の正しさ」は全く気にせず、話すことに夢中になっていました
そして、レッスンが終わってからも、「そうそう、で、続きですけどね・・・」と日本語でさらに話を続けて、色々と語ってくれました
英語をせっかく習いに行くのだから、何か新しいことを教えてほしいと思われる人もきっといるでしょう
だけど、僕の生徒さんはみなさん、僕が何も文法などの解説をしなくても、実践を通して学んでくれています