高校生のSくんがレッスン中に、「学校で先生に、Yes, Noの後にI do とか he doesをつけなさいと言われたから、そのやり方を知りたい」と言いました
僕は彼に理屈は説明せず、Yes, Noで答える質問を大量にし、答えさせる練習をさせ、その都度、彼の言う「正しい答え方」を言っていきました
僕のレッスンスタイルでは、本来、正しい答え方にはこだわらないのがポリシーなので、彼には、なぜ正しい答え方を教えていないのかを、時間をかけて説明する必要があると思いました
正しい答え方を知っていることそのものは悪いことではないので、彼が知りたいことを「解説」や「説明」ではなく、「大量の練習」という形で覚えてもらおうと考えています
で、なぜ教えないのかについての詳しいことは、言葉ではうまく言えません
僕の教室に長く通っている生徒さん達にも、何も教えたことはないけど、彼らは「感じて」くれて、学んでいます
昨日のレッスンが終わってすぐに、Uさんがこう言いました
「先生にもらったCDを毎日聴いているけど、英語は聞こえても日本語の意味が頭から出てこないんです」
僕は、「日本語の意味を考えないでください」とUさんに答えました
必ずしも、ある英語の表現に対してマッチする日本語があるとは限らないからです
例えば逆に、日本語の「おはよう」はいつも“Good morning”と訳せるのかを考えてみます
夜、居酒屋で働いている人が職場に行けば、「おはようございます」と挨拶する人は多いと思います
英語圏の国で夜、人に会ったら、“Good morning”ではなく、“Good evening”を使うことのほうがほとんどです
日本では、夜でも「おはよう」と挨拶をする習慣があり、英語圏の国にはそれがないのです
英語に相当する日本語を思い浮かべるよりも、どんな状況でその単語や表現を使えるのかを知ることが大切な気がします
僕がパナマに住みはじめて間もない時の経験です
スペイン語の学校へ行く途中で、小さい野良犬にいきなり足を噛まれたことがあります
学校へ着いて、ジェスチャーで先生にそのことを説明し、何となく「帰って、病院へ行きなさい」と言われているような気がして、そうしました
今度は病院で、そのことを一生懸命説明しました
「ペロ・・・にここをかまれて・・・アキー・・・なんとかして~・・ポルファボール・・」みたいな説明だったと思います
理解されたみたいで、病院の先生が注射をうってくれました
おかげで狂犬病にもならずに、今もこうして元気に生活しています
この経験があってから、なぜか学校で友達が増えました(笑)
当教室では、生徒さんたちに数千の単語を紹介し、発音する練習をしています
それでも、最近生徒さんの中に、「やっぱり、もっと話せるようになるには語彙力が必要だ」という人が出てきました
人それぞれ話したい内容が違うので、全員に同じ単語を紹介していたら、それぞれの会話の伸びに限界がくるのだなと思いました
生徒さん一人ひとりに興味のある話のネタに関係する単語をより多く紹介できるかが、今後の課題になりそうです
新しいレッスンのメニューを増やしました
電化製品などの説明書に書いてあるのことを英語で説明してもらう練習です
説明書に書いてあることを文字通り英語になおしても、上手く相手に通じるとは限りません
必要なのは、日本語を読んで状況を頭の中で絵にすること
そして、その状況を英語でどう表現するかを考えること
この二つです
慣れるまでには時間が必要ですが、とてもいい頭の運動になると信じています