Iさんは先日、静岡の駿府マラソンに参加して、5km走ってきたそうです
そのときのエピソードを話してくれました
5km走った中で、給水ポイントがあったそうです
Iさん以外のランナーは、その給水ポイントで飲み物をもらって、水分補給をしながら走ったようですが、Iさんはそれができなかったそうです
僕はなぜできなかったのかをIさんに質問しました
答えは、「私が内気な性格だから」でした
Iさんは元々、自分にあまり自信を持てない性格なようで、マラソンの給水ポイントを見た瞬間に、「私ごときのマラソン初心者が、水をいただくなんて、めっそうもございません」と心の中で思ってしまったらしいです
僕はこの話を聞いたとき、少し大げさだと思いましたが、普段のレッスンでIさんと対話をするときも、「今自分が言ったことは先生に通じているのか、もし通じていなかったら先生に申し訳ない」と心の声が聞こえてくるような感じがしてたので、たぶん本当です
Iさんがマラソン初心者や英会話初心者であることを、「それがどうかしました?」と、開き直って考えられるようになったとき、今よりもずっと沢山のことができるようになるのだろうなと、僕は感じました
会話の中で使われる言い回しと文章の中で使われる表現は、「違う」と言うことを意識すると、気が付きます
普段はそのようなことを気にする必要がないからです
文章の中で使われる表現は「ほぼ意識的に作られた」ものなので、人工言語ということになるのでしょうか?
英会話を習いたい人に対して、教える側は「教えてはいけない」とよくいいますが、実際のところは、「教えられない」のかもしれません
自然言語で話すということは、ほぼ無意識が言葉を選んで使っていることなので、それを教えようと体系化した時点で、人工言語として扱われるということにはならないのでしょうか?
言語学と脳科学の本を読んだ時に、「正例だけでなく、負例も与えないと、自然言語を獲得するのは原理的に不可能」と書いてありました
正しい表現だけではなく、間違った表現も与えないと、ネイティブのような言語の使い方はできるようにならないということだと思います
僕は英会話の講師として、レッスンでは、なるべく単語力をつけることと発音の訓練をするようにして、自然な言い回しは各生徒さんが自分でテレビやラジオなどから吸収していってもらうのがいいのかなと考えています
先日、車の中でラジオを聴いていたら、恋愛相談をやっていました
相談される人は、元サッカー選手のゴン中山です
相談していた女の子の悩みは、「今、自分が気になっている男の子がいて、その男の子のことを本当に好きなのか自分でもわからない」というものでした
これに対してゴンは、「たぶん好きじゃないんだよ」、「本当に好きになっちゃったら、もう、どうしょぉぉ~もなくなっちゃうもんだよ」と答えていました
フィールドに立っていなくても、ゴンは熱い人でした
そして、ラジオを聴きながら、僕もゴンの意見に賛成でした
人間の感覚はそもそも、催眠術をかけられるなどをしない限り、コントロールするのは難しいものです
誰かに対して、「あの人を好きになりなさい」と直接命令したところで、「頑張ったら好きになりました!」なんてことにはなりません
「好きになりなさい」と言うと、「今は好きではない」ということを暗示してしまっているので、逆効果かもしれないです
相手の感情を上手にコントロールできる人は、恋愛も仕事も上手にできる人なのだと思います
ずっと前ですが、テレビの番組で面白い実験をやっていたのを思い出しました
2人の被験者に隣り合って座ってもらい、間に壁を置き、お互いが見えないようにします
その状態で2人に同じ本を読んでもらうのですが、1人には普通に読んでもらい、もう1人には速読で読んでもらいます
しばらく時間が経ってから、間にある壁を取ったら、2人には大きな違いがありました
片方の人は号泣していて、泣いてない人は号泣している人を見て「泣く意味がわからない」という反応をしていました
号泣していたのは、普通のスピードで読んだ人でした
本もそうですが、映画でも感動することはよくあります
2時間の映画で泣くこともあれば、10分のショートムービーで泣けることもあるでしょう
僕は感動ものの映画を教材にすることもあるのですが、レッスンの準備としてDVDを2倍や3倍で再生することが、たびたびあります
何度その映画を見ても感動するのに、早送りで見ると、とたんに感情移入ができなくなります
ストーリーの長さは関係なく、コマ送りで本を読んだり映画を観ても「泣ける映画」が「泣けなくなる」に変わることは、興味深いです
ナチュラルなスピードと、早いスピードでは、頭に入ってくる情報の量は同じでも、捉え方が違うのかもしれません
新しく習った単語や表現を会話で使うには、少なくとも勇気が必要です
僕の生徒さんを見ていて、新しく習ったものを使うとき、その単語や表現だけちょっと声が小さくなる人が半分くらいです
声が小さくなってしまう生徒さんは、「正しい文」で言わないと通じないという考え方がまだ頭の中から抜けていないので、使い方が正しいかどか確かでないものに対しては、委縮しがちです
OFFBEATのコンセプトがある程度体に馴染んでいる生徒さんは、必ずしも文で表現しなくても相手に通じることが沢山あると理解しているので、「今使える」と直感で感じた時に、新しい単語や表現を積極的に使っているように感じられます
同じくらいの英語力を持っている人が2人いても、その2人が同じくらい会話を楽しめるかというと、それは別の話になります
自分の持っている英語力を多く発揮できる人は、「自分はすでに十分話せる」ということを無意識的に知っているのかもしれません