各家庭において、外では通じない共通言語があると思います
僕の家庭内でいうと、「ガーガーやって」が、その一つです
娘が「父ちゃん、ガーガーやって」と僕に言ったら、それは「髪の毛をドライヤーで乾かして」という意味です
この表現は僕の家で生まれた言葉なので、例えば娘が保育園の先生に「せんせー、ガーガーを一人でできるようになったんだよ」と言っても、「はぁ?」と言われるでしょう
家族だけでなく、仕事場や友達同士でしか通じない言葉は沢山あるでしょう
言葉は日々生まれるだけでなく、自然に使われなくなっていくものも沢山あります
こう考えると、日本語を知り尽くしている日本人は存在しないと言えるのではないでしょうか
英会話を学ぼうとするとき、「マスターしよう!」などと気を張らずに、知らない言葉が沢山あって当然と知っていれば、もっと楽な気持ちで会話を楽しめるのだと思います
Fさんがレッスンの中で「肥料」とは何かを英語で説明することに挑戦しました
何とか説明が終わるのに2分くらい頑張りました
もともとFさんはある程度「英語」の知識を持っていて、日常の会話はあまり困ることはない程度に話すことができます
問題は、自分が英語で話をしたことがない話題について質問されたときに、ピタッと思考が止まってしまうことでした
英語力はだいぶ伸びてきていたのですが、「正しい文を作る」ことに力を注ぎ過ぎてきたため、話している相手に「伝えたいことを伝える」というシンプルなことを忘れてしまっていたようです
Fさんはどうにかこうにか肥料を説明し終わり、僕に「こんな英語で大丈夫ですか?」と質問してきました
僕が「ダメですか?十分通じましたよ」と答えたら、Fさんは「これでも通じるのか」と言っていました
今まで英語を一生懸命に勉強してきたために、キレイな文で言わないと伝わらないのではと、思い込んでいたようでした
これをきっかけに、少しでもFさんの肩の力が抜ければいいなと思います
出張レッスンで、初参加の方がいらっしゃいました
多くの方は「英会話レッスンとはこういうものだろう」というイメージをお持ちなので、僕のレッスンを受けた後の感想は、「思っていたレッスンと違った」と言われる方が結構多いです
僕はレッスンの中で、「この言い方が正しい」ということは教えません
よくあることですが、英語で会話中に生徒さんが言いたいことを表現できなくて僕に目で助けを求めてきますが、僕はニコニコしているだけで、手助けをしません
生徒さんの多くは外国に行った経験があり、英語ができる人と一緒に行って、自分はその人に頼りっぱなしで何もしなかったから、自分一人でも何とかできるようになりたいと思っています
レッスンの中で僕が生徒さんを助けてしまったら、自分で何とかする力はついてかないでしょう
人を育てることは教えることだけではなく、ときには試練を与えてそれを少し距離が離れたところから見守ることも必要だと僕は思っています
英語でコミュニケーションを取れるようになってくると、誰だってそれなりに嬉しく感じるものです
「もっと沢山、ネイティブスピーカーと会話をしたい」と思う気持ちが出てくるのも自然なことでしょう
僕は去年からより多くのグループレッスンをやるようになりましたが、時々見る光景があります
英語をある程度できる人が英会話の超初心者と英語で会話をすると、自分の言っていることが相手になかなか伝わらないのです
今までは自分の英語力が足りなくて、相手が理解してくれなかったということを沢山経験して来ていると思います
逆に自分が英語で話せるようになってくると、英語ができない相手に対して話すと、これはこれで理解してもらえないことがあるのだということに、そこで気が付きます
そんな時はどうすればいいのか・・・
工夫が必要になってきます
時には、相手に会わせて、自分が片言英語にレベルを下げる必要がでてくるかもしれません
英語力だけをアップさせることに力を入れていると、コミュニケーションの大事な部分を忘れてしまうので、それを生徒さんには気付かせてあげたいです
今年に入って、出張レッスンに新しく参加される人がボチボチ出てきました
初めて参加される人は、1時間のレッスンで発話する量の多さや、「習っていないから言うのは無理だろう」と思うことをやったりするので、かなり戸惑います
「下駄を英語で説明してください」といきなり言われれば、英会話初心者にとっては厳しいのは当然です
ですが、説明しなければいけない状況に立たされた人は、そこで自分なりの工夫をすることを考えて、単語プラスジェスチャーで何とか伝えようと努力します
この「工夫する力」を養う前に英語力を身に付けようとすると、コミュニケーションの能力はなかなか上がってきません
英語のフレーズなどを沢山使えるようになれば、それなりの表現をできるようになるでしょう
しかし、一年で数十時間しか英語の勉強に時間を取れないとなると、豊かな表現力を使って英会話を楽しもうというのは、一生かかってもかなわないのが現実です
「英語のフレーズを・・・文を・・・」という考え方から抜け出せれば、実りのある会話はそう遠くないかもしれません