昨日、Sさんのレッスンをしていて気が付いたことは、「教わったから」英語が使えるのではなく、「体に染み込んだから」英語が使えるのだということです
“Actually,..”, “Exactly..”, “fresh air”などの単語や表現をSさんは僕との英語での雑談で使っていましたが、僕が使っている教材の中にたびたび出てくるものです
それらを何度も耳にしたり口から出す練習をしていくうちに、自然と普段の会話の中で出せるようになってくるのだと感じました
ある英単語の意味を日本語の単語とマッチさせるだけでは、わかった「つもり」になっているだけです
レッスンの中でよくある出来事の中に、生徒さんが言おうとしている単語を僕が「これですか?」と言うと、「そうそう、知っているのに何でいざというときにでてこないのかな~」ということがあります
それは、まだ「染み込んでいない」からです
単語や表現を沢山使えるようになる、そして、それらを組み合わせて文章で表現することは、本人の相当な努力が必要です
僕が言う「努力」とは、英語そのものに対してではなく、「英語と向き合う時間をどれだけ自分に捧げられるか」
特に初心者の方、短時間で要領よく英語を身に付けようとしないでください
色々な人からよく、「お父さんが英語できるから、子供に教えてあげられていいね」などと言われることがあります
僕は「教える」つもりはありません
理由は、人間は興味があることを勉強したときしか、本当の意味で身にならないと僕は思うからです
「英語」に興味がある子供はいないと思います
自分自身、2歳の子供には英語が「聞こえてくる」環境は少し作っています
テレビやDVDをできる限り英語の音声にしているくらいですけど・・
大人も子供も、自発的に学ぶ
教えてくれるのを「待つ」のではなく、教えてもらいに「行く」、こんな意識が大切なんです
今また新たに、映画のセリフを使った教材を増やしているところです
色々と映画のセリフをゆっくり眺めていると、いわゆる「文法的まちがい」が多いことに気が付きます
“I thought you was gonna do it.” など、中学校の先生が「コラァー!」といいそうな表現も普通に使われています
なぜ、ネイティブスピーカーが文法的に間違った表現を使っても、自然に聞こえてしまうのかを考えました
たぶん、「堂々と話しているから」です
彼らはいちいち、”a”と”the”を言い間違えたからといって、訂正をしたりはしません
日本人だって、普段の何気ない会話で、文法的におかしい話し方をしている人は沢山いるはずです
だからといって、訂正することはありません
「堂々と話している」から、間違いが間違いに感じられないのです
堂々と話すということは、文法の正しさを超越した力を得るようなものです
Uさんがレッスンの後、こういう話をしました
「この前、毎週月曜日に訪問介護へ行っているアメリカ人家族の人と話していて、私の英語力が1年前よりかなり伸びていると言われたけど、全然実感が持てない」
僕もアメリカへ留学していたときに、友達に同じようなことを言われて、自分ではどこが上達しているのかさっぱりわからないという経験をしました
自分のことは案外わかっているようで、わかっていないみたいです
もう一つ、Uさんが思っている英語力とアメリカ人家族が思っている英語力は、それぞれ意味合いが違うと僕は思いました
Uさんは単純に、文章でペラペラしゃべっている未来の自分を想像して、それと比べてまだ全然伸びていないと思っています
一方で、アメリカ人家族が言っていた「英語力」とは、僕が生徒さんによく言う、「英語を使ったコミュニケーション力」で、それがUさんにはっきりと成長が見られるということでしょう
自分の成長は、一生実感できないままでもいいと僕は思います
「自分は成長したな~、満足、満足」と感じてしまったら、そこで成長が止まってしまうかもしれないので・・
中高生に会話を教えていてよく分かることは、文字を見ずに発音練習をすれば、誰でも発音はよくなるし、時間がたってくれば、誰でもコミュニケーションを英語でとれるようになるということです
多くの学生が、なぜ学校でこんなに多くの時間を英語の勉強に費やしているのに、簡単なコミュニケーションさえとれないのかを、僕はいつも考えています
「文法の勉強から始めるからだ」とか「スピーキングをほとんどやらないからだ」など、英語の専門家は色々主張しています
僕もほとんどの意見に賛成です
そして、僕が感じる、学生が英語でコミュニケーションをとれない理由は、「正しい表現を決めつけられている」という部分です
例えば、テストをやったときに、答え方が1つに決められていて、その他の答え方をしたときには、問答無用で点数をもらえないことが多々ある
“Would you mind?” は相手に何かを頼むときなどにも使える表現ですが、これを直訳すると「気にしますか?」みたいな感じになるので、頼みを承諾するときには、”No.”で答えるのが基本です
だけど、市販の英会話の教材の中には、”Would you mind?”の質問に対して、”Sure.”で承諾したことになっている会話文もあります
学校の先生がこれを見たら、「この答え方は文法的に間違っている」と言うかもしれません
そうはいっても、これが「リアルな状況で使える英語」なんです
リアルに使えるということは、それが正しいとか間違っているとかは関係なく、「コミュニケーションが成立できている」ということです
最近では、「全然カッコいいよ!」と誰かが言えば、意味としては普通に通る、「大衆が認めた表現です」
「正しい言い方」にこだわらずに会話を楽しめば、英語を使うことはそんなに難しいことではありません