声のトーンは、話している人のその時の機嫌、話の内容の重要性などを読み取るのに、とても役立つものです
同じ言葉を言うにしても、言い方次第で、相手の答え方が変わったりすることもあります
例えば、英語がほとんどわからないケンジがリサと友達になり、誕生日会に来るかどうか聞かれました
ケンジは、リサの言ったことを半分理解し、あとの半分は推測で判断して「うん」と答えました
リサ「今週末の私のバースデーパーティーにあなたのホストファミリーもぜひ一緒に来てくれる?」
ケンジ「うん」
りさ「ほんと~?♪」
ケンジ「もちろん」
ケンジの「うん」に対してリサが、疑わしい感じの低い声のトーンで「ほんと?」と聞いたら、もしかしたらケンジは、自分が何か変なことを言ってしまったのかと勘違いし、「いいえ」と答えを逆にするかもしれません
僕もアメリカに住んでいるときに、相手の言っていることが半分しかわかってないのに適当に答えて、「ほんと?」と言われて「イエス」を「ノー」に変えた経験が何回かあります
だから、声のトーンには、すごい力がきっとあります
OFFBEATのレッスンのエクササイズの中に、電化製品などの説明書に書いてある内容を生徒さんに英語にしてもらうものがあります
例えば、ポータブルCDプレーヤーの説明書の中に「車の運転中は使用しないでください」という注意書きがあります
これを英語で説明してもらいます
英会話初心者にとって、頭がかなり痛くなるようなエクササイズです
だけど、日本語をそのまま文字通り英語にしようとすれば、かなり大変です
そこで大切なのが、「頭の中でその状況を絵にする」ことです
そして、頭の中に描かれた絵を英語で表現します
「車の運転中は使用しないでください」の状況なので、頭の中には、車の車内で人がCDプレーヤを使おうとしている絵があるはずです
その絵の中の人に対して、「使っちゃダメだよ」と言えばいいわけです
この状況を人に説明するとして、“You are driving. Don’t use this.”(プラス、ジェスチャーなど)・・・こんな言い方でどうですか?
多分相手は理解します、カッコイイ表現や難しい文章はまったく使っていませんが、これで通じます
OFFBEATで大切にしていることは、「英語のレベル」ではなく、「英語を使ったコミュニケーションレベル」です
わかっちゃいるけど、なかなか直訳から抜けられない・・・んですよね
普段何気なく使っている言葉には、意味が曖昧なものが沢山あります
例えば「登山」
基本的に山に登ることを登山といいますが、低い山に登った時に「登山」を使うと、なぜか違和感を感じます
「先週末、近所の山へ登山に行ったんだけど、20分で頂上に着いたから楽勝だったよ」
こんな話を聞くと、「そんなの登山って言えないよ」と返したくなります
だけど、確かに山には登ってきています
「そんなの登山って言えないよ」と言った人にとって、高さ何メートルの山から「登山」と呼ぶのでしょうか?
多分、その人の感覚だけで「登山」を使っているので、はっきりした基準も定義もありません
意味は曖昧なんです、だけど言葉として使えてしまうものなのです
教わるだけでは言葉を使えるようにはならないのは、人は感覚で言葉を使っているからだと思います
先日のイベントで、日本語と英語は全く違う言語だからお互いに直訳することはできないので、話す相手に伝えたいことを頭の中で絵にすることが大切だという話をさせてもらいました
そして、昨日のSさんのレッスンの後、こんなことがありました
僕が、「来週はもう8月ですね」と言い、それに対してSさんが「ああ、おとましい(静岡弁)」と返しました
「おとましい」を標準語で何というかSさんに質問したら、何だろうねということになりました
要するに、静岡弁から標準語に「直訳」できなかったのです
同じ日本語の中でもこんなことが起こるんです
ある方言の単語や表現に対して、それにピッタリ合う標準語がないということ
やっぱり、言葉はそれぞれの文化の中で作られたものなので、違う言語同士が「直訳できない」というのは自然なことです
そして、「おとましい」を標準語で表したいときには、「おとましい状況」を頭の中で絵にする作業が必要になるのです
23日(土)にOFFBEATで行ったイベント、何とかやりきりました
今回は4名の参加で、ほどよくリラックスしながらできたと思います
このイベントのコンセプトは、「日本語と英語は違うということを体験しながら理解すること」と、「話すときに頭の中で絵を描くこと」の二つでした
なぜ日本語から英語へ直接訳そうとすると思考が停止してしまうのか、一つの状況を言葉で伝えるにしても、表現方法は沢山ある、などのことをエクササイズをやりながら皆さんに体験してもらいました
今回僕が注目したコンセプトはとてもいいポイントだと思うので、これの質をどんどん高めて、次のイベントやレッスンに役立てていきたいです
多くのことに言えますが、準備にかなりの時間を注いでいるので、本番があっさり終わってしまうのはなんだか寂しいものですね